おすすめできない参考書

 

はじめに

オススメ参考書の記事はネットにたくさんあるので、逆に微妙だったものについて書こうと思います。実際に私が取り組んだ中で、イマイチだと感じた参考書を理由と共に紹介します。

 

 

 

これならわかる!ナビゲーター世界史B

世界史をわかりやすく解説した本。しかし、これ一本で入試を戦っていくには情報が足りない。また、いくらわかりやすいと言っても知識を定着させるには繰り返し読む必要があり、しかも4冊あるので、世界史学習の導入としての役割を期待するにしても、読むのに時間がかかりすぎる。世界史に割ける時間は限られているので、教科書、あるいは、教科書に書かれていない重要なことが載っている荒巻の新世界史の見取り図を読んだ方が良い。

 

Next Stage 英文法・語法問題

文法問題を沢山集めた本。網羅性は高いが、解説はあっさりしている。周回するのに時間がかかることと、解説が少ないので文法への理解をそこまで深められないのが欠点。ネクステを最後の知識の確認用に使うことを勧める意見もあるが、ネクステは文法項目ごとに問題が並んでいるので、ある程度勉強した人間であれば、項目から答えを推測できてしまって学習効果を下げる可能性がある。また、入試問題の大半は文法以外の、長文や作文、リスニングなどの問題なので、文法に時間をかけすぎるあまり他の対策がおぼつかないようではむしろ英語の成績が下がってしまう。共通テストでも文法が聞かれなくなり、文法問題集そのものの重要性が低下している。さらに、文法問題集をやるにしても英文法・語法のトレーニングの方が内容が充実しており、実質的な上位互換となっているため、ネクステをやる必要性は薄い。

 

センター現代文一問一答問題集 必修編

センター試験の正答率の低い問題を集め、文章を細切れにして掲載した本。センター試験に限らず、東大の2次試験などにも当てはまる話だが、入試の現代文は文章の構造に沿って問題が作られているため、傍線部を利用して文章を意味段落に分け、そのうえで設問と意味段落の関係を理解することがもっとも正確な解き方である(ライジング現代文ではこうした解き方が詳しく解説されている)。しかし、この参考書では文章が部分的にしか掲載されていないため、その練習ができない。また、共通テスト現代文はセンター同様、時間的制約が厳しいことから、センター過去問を通しで解く練習が必要になる。しかし、この参考書で虫食い的に過去問を消費してしまうことで、過去問を通しで解いた際に学習効果を下げてしまう恐れがある。

 

クイズその54

以下の出来事がおきた順番として正しいものを選びなさい。

a盧溝橋事件

b西安事件

c第1次近衛声明

(1)a→b→c

(2)a→c→b

(3)b→a→c

(4)b→c→a

 

解説

正解はb→a→c

・盧溝橋事件は日中戦争の契機となった。

西安事件は張学良が蔣介石を監禁し、国共内戦の停止を迫った事件。翌年、日中戦争が勃発して第二次国共合作が成立する契機となった。

日中戦争中に発表された第1次近衛声明では「国民政府を対手とせず」とし、日本政府は国民政府との話し合いを自ら放棄した。

クイズその53

正しいものを(1)〜(4)から選びなさい

(1)皇道派は総力戦に備えた高度国防国家を合法的に建設しようとした。

(2)岡田啓介内閣は国体明徴声明を発し、天皇機関説を支持した。

(3)統制派は二・二六事件を鎮圧したのち、内閣に圧力をかけて軍部現役武官を復活させた。

(4)日本は国際連盟から脱退したのち、日満議定書に調印した。

 

 

 

 

解説

(1)統制派のこと。皇道派天皇中心の精神主義的な昭和維新路線を唱えた。

(2)岡田啓介内閣は天皇機関説を否定した。

(3)正文。統制派は二・二六事件を機に皇道派を排除して陸軍の主導権を握った。

(4)1932年に満州国を建国し、日満議定書を結んでこれを承認するも、1933年にリットン報告書にもとづく対日勧告決議案が臨時総会で可決され、日本は国際連盟を脱退した。

クイズその52

正しいものを(1)〜(4)から選びなさい

(1)大川周明が『日本改造法案大綱』を著し、北一輝猶存社を設立した。

(2)戦後恐慌や金融恐慌に続いて関東大震災による震災恐慌が発生した。

(3)田中義一内閣は台湾銀行救済勅令案を用意するも枢密院に否決され、総辞職した。

(4)産業合理化を進めるために重要産業統制法が制定され、カルテル活動が保護された。

 

 

 

 

解説

(1)北一輝が『日本改造法案大綱』を著し、大川周明猶存社を設立した。

(2)戦後恐慌→震災恐慌→金融恐慌の順が正しい。

(3)緊急勅令案を否決されたのは第1次若槻礼次郎内閣。田中義一内閣は張作霖爆殺事件の事後処理に失敗し、天皇の信用を失ったことで総辞職した。

(4)正文。cf.https://ameblo.jp/nojimagurasan/entry-12217281461.html

クイズその51

正しいものを(1)〜(4)から選びなさい

(1)美濃部達吉が『中央公論』で提唱した民本主義は政党内閣の実現を目指すものであった。

(2)原敬衆議院議席をもつはじめての首相であったが、普選運動を主導した。

(3)日本はパリ講和会議で人種差別撤廃の条項を挿入するように主張した。

(4)国際連盟常任理事国であったアメリカはソ連やドイツの参加を認めなかった。

 

 

 

 

解説

(1)民本主義を提唱したのは吉野作造美濃部達吉天皇機関説を主張した。

(2)原敬は「平民宰相」などとも呼ばれ、1918年に本格的政党内閣を組織したが、普通選挙には否定的であった。

(3)正文。ヴェルサイユ条約では人種差別撤廃条項は認められなかったものの、山東省の旧ドイツ権益や赤道以北のドイツ領南洋諸島委任統治領を獲得した。

(4)アメリカはソ連やドイツの国際連盟参加を認めず、孤立主義を主張する議会の反対でみずからも参加しなかった。

クイズその50

正しいものを(1)〜(4)から選びなさい。

(1)第一次世界大戦中、世界情勢の混乱にともなって日本の輸出は縮小した。

(2)1930年代には電力消費量が増加し、猪苗代・東京間の長距離送電に成功するなど水力発電が発達した。

(3)1910年代には日米船鉄交換条約が成立し、日本の船舶輸出が増大した。

(4)欧米諸国が金輸出を解禁したのにともなって寺内正毅内閣も金輸出を解禁し、日本は金本位制に復帰した。

 

解説

(1)ヨーロッパ諸国の後退にともない、中国に綿織物、アメリカに生糸、ヨーロッパに軍需品などを大量に輸出し、大戦景気を迎えた。

(2)猪苗代・東京間送電に成功したのは大戦景気を迎えた1915年。

(3)正文。第一次世界大戦により世界的に船舶が不足し、日本の造船業が急激に拡大した。内田信也に代表される船成金も登場した。

(4)第一次世界大戦中に欧米諸国が金輸出を禁止し、寺内正毅もこれにならった。

クイズその49

正しいものを(1)〜(4)から選びなさい

(1)ドイツによるポーランド侵攻をきっかけに日本はドイツに宣戦布告し、青島を占領した。

(2)大隈重信は西原亀三を派遣して段祺瑞政権に対する借款をおこない、中国における日本の影響力の拡大を狙った。

(3)第一次世界大戦中に結ばれた石井・ランシング協定は九カ国条約締結にともない破棄された。

(4)第一次世界大戦終結後にロシア革命が発生したため、列国はシベリア出兵をおこなった。

解説

(1)第一次世界大戦が勃発すると日本はドイツに宣戦布告し、青島を占領した。ポーランド侵攻第二次世界大戦がはじまるきっかけとなった。

(2)西原借款は寺内正毅内閣のもとでおこなわれた。

(3)正文。cf.https://www.y-history.net/appendix/wh1502-034.html

(4)ロシア革命とシベリア出兵が第一次世界大戦中のできごと。大戦終了後に列国が撤兵していくなかで日本は駐兵を続けたため、避難された。
 

 

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