東大の赤本は微妙?文系5科目の赤本の内容を検討してみた!
はじめに
当然のことながら、東大に合格する上で、過去問を解くことは必須とも言えます。問題は、過去問集をどれにするかと言うことですが、やはり赤本がもっともポピュラーなのではないでしょうか。特に『東大の〜25カ年』シリーズを購入すれば、まとまった年数の過去問を廉価で入手することができます。しかし、いくら問題を解いても、解説が不十分であれば学習効果は半減してしまいます。より解説が充実した過去問集が欲しいと思うのが受験生の心理ではないでしょうか。そこで今回は、科目ごとに東大赤本の内容を検討し、仮に解説が不十分だと思われる場合には、より解説が充実した過去問集を提案します。
英語
実は英語の赤本は2020年になって竹岡広信先生によって全面的に改訂され、大幅に内容が良くなりました。単に問題を解説するだけでなく正答率や生徒の答案例なども掲載されており、類書と比べても充実した内容だといえます。
英語リスニング
冒頭に問題の解き方が述べられており、後ろに回答根拠・スクリプト・日本語訳が載っています。リスニングという科目の特性的にも構文や文法などを細かく解説する必要もないでしょうし、内容的には十分だと思います。
文系数学
問題とその解説が掲載されているという特筆すべきことのない構成です。赤本でも普通に勉強できると思います。しかし、類書の東大数学で1点でも多く取る方法 文系編や鉄緑会東大数学問題集の方が内容が充実しています。特に鉄緑会の過去問集は別解が豊富なだけでなく、指針の立て方や難易度評価や解く順番や目標点数など圧倒的な情報量があり、得られるものも多いです。
また、鉄緑会東大数学問題集 資料・問題篇/解答篇 1980-2009〔30年分〕と最新年度版を購入すれば40年分の過去問を手に入れることができます。
現代文
解答例・解説共に微妙です。正直その辺の受験生の方がより良い答案を書けると思います。現状、過去問を20年分以上扱った書籍でおすすめできるものはありません。やや手に入れにくく、扱っている年数も10年分にも満たないですがライジング現代文や書籍ではありませんがAnchorがおすすめです。現代文の解法も悪くないと思います(こちらには10年分の解説・解答例が掲載されています)。
古典
赤本の解説は簡素です。類書の中では鉄緑会東大古典問題集が充実しています。
日本史
赤本の中でも最も評判が良い科目だと思います。ただし、解答例だけであればこちらからも見ることができます。赤本以外であれば東大日本史問題演習がオススメです。
世界史
テーマ別 東大世界史論述問題集よりは赤本の方が良いと思います。しかし、赤本も、満点答案かと言われると微妙な答案が散見されます。世に出回っている中では中谷先生の解答例は質が高いと思います。
おすすめ参考書(日本史編)
はじめに
おすすめの参考書を紹介します。私はこれまで全科目合わせて250冊以上の参考書に取り組んでいるので、他の参考書紹介記事よりも信ぴょう性が高いのではないかと思います。
センター日本史B一問一答 完全版
難易度:基礎
共通テスト日本史を対策しようとする人はこちらの一問一答使う人が多いかもしれませんが、本書の方が明らかに対策に向いています。そもそも、通常の一問一答を回すことは共通テスト対策としてはあまり効果的ではありません。というのも、共通テスト日本史では、用語そのものを問われることはほとんどなく、教科書の記述を理解することが求められるからです。高得点を取るためには教科書の記述を丸暗記するのが確実ですが、他の科目との兼ね合いを考えると現実的ではありません。しかし、ある程度問われる箇所は決まっているため、それを網羅した本書を使えば効率的に学習できます。本書をやり込めば9割程度の得点が期待できるでしょう。東大受験生の共通テスト日本史と東大二次試験の日本史の得点はほとんど相関がないそうです。つまり、理系のみならず、二次試験で日本史を使う人にとっても、共通テスト対策はなるべくはやく時間をかけずに済ませる必要があります。本書を使えば、少ない時間で最大に成果を上げるできるでしょう。ちなみに、センター日本史と題されてはいますが、共通テスト日本史もセンターと内容的にはほぼ同じなので、気にしなくて大丈夫です。
中学から使える 詳説日本史ガイドブック
難易度:標準
中学から使えるとありますが、中身は硬派な受験参考書となっています。詳説日本史の記述を論述用にまとめ直した本です。東大や一橋などを受験する人はとりあえず持っておいた方が良いでしょう。
詳説日本史B改訂版
難易度:標準
共通テスト対策に必携の書です。論述対策にも使えますが、案外教科書以外をメインの教材として使って合格する人も多いです。
日本史の論点―論述力を鍛えるトピック60
難易度:標準
タイトルの通り論述向けの本です。東大や一橋レベルの問題を解く上で重要な論点が述べられています。教科書だけでは得られない視点も多く含まれているので一読しておくべきです。
時代と流れで覚える! 日本史B用語
難易度:基本・標準
やや難しい用語もありますが、効率的に知識と時代の流れを習得できます。教科書が苦手な方はこちらを読む良いです。私大はもちろん、東大であっても近代史は知識が無いと書けないことが多いのでこういった本で対策するのもアリです。
日本史講義 2 時代の特徴と展開
難易度:発展
論述向けの参考書です。世界史見取り図が立ち位置としては1番近いかもしれません。社会経済史や土地制度史など論述を書く上で理解しておかないとけないことに絞った記述がされています。ページ数は少ないので短い期間で読み終わります。
おすすめ参考書(世界史編)
はじめに
おすすめの参考書を紹介します。私はこれまで全科目合わせて250冊以上の参考書に取り組んでいるので、他の参考書紹介記事よりも信ぴょう性が高いのではないかと思います。
スピードマスター世界史問題集
難易度:基礎
世界史に必要な知識を短期間で効率よく習得できます。こちらに詳しい感想を書いています。
入試に出る 世界史B 一問一答
難易度:基礎・標準
世界史の一問一答といえば東進が有名ですが、東進の一問一答は知識が細すぎるため、一部の私大を受ける人以外にはオーバーワークになってしまいます。『入試に出る 世界史B 一問一答』はある程度の網羅性を確保しつつも細すぎる知識は載せていないのでバランスの良い一問一答だと言えます。また、年表や地図などが載っているので知識を整理しやすいです。共通テストや東大世界史の第3問レベルであればこれをやっておけば満点かそれに近い点数が取れるはずです。
詳説世界史B 改訂版
難易度:標準
世界史の教科書は帝国書院や東京書籍、実教出版など、様々な種類があり、それぞれに短所長所がありますが、やはり山川がもっともおすすめできます。実はどこの出版社の世界史教科書が良いのかという問題は長年論争になっており、決着がつきそうにありません。東京書籍の方が東大対策に向いているという説もありますが、それが必ずしも正しいわけではないことはこちらのブログで明らかにされています。山川の長所としては、文章が論述問題の模範解答のように洗練されており、注釈が少ないので通読もしやすいという点にあります。また、もっとも一般的な参考書であるため、仮に山川に書かれていないことが出題されても、他の受験生と差がつきにくいということも考えられます。とはいえ、山川にもやや記述を省略しすぎているきらいがあるので、余裕があれば他の出版社の教科書も読むのがベストです。
判る!解ける!書ける!世界史論述
難易度:標準
世界史論述の問題集です。知識の整理や論述の書き方などが書いてあって解説は丁寧です。何より、問題数が多く、主要な論点をほとんどカバーできています。問題数の多さゆえにどうしても1周するのに時間はかかりますが、これに載っていることくらいは書けないと差をつけられてしまうのが世界史という科目の辛いところです。
荒巻の新世界史の見取り図
難易度:発展
「教科書には書かれていないけれど重要なこと」が書かれているのがこの参考書です。用語を網羅して解説することはしていませんが、代わりに受験世界史の枠を超えた広い視野で世界史の流れを掴むことができます。「試験の点数に直結することをやりたい」と言うより「知的好奇心を満たしたい」という人向けの参考書です。一橋や東大では教科書の枠を超えたことが問われることもあり、そういった大学の対策ができる受験参考書は本書に限られると思います。
おすすめ参考書(国語編)
はじめに
おすすめの参考書を紹介します。私はこれまで全科目合わせて250冊以上の参考書に取り組んでいるので、他の参考書紹介記事よりも信ぴょう性が高いのではないかと思います。
『生徒会の一存』で古文単語が面白いほど身につく本
難易度:基礎
実は私はこの本を読むまで『生徒会の一存』というライトノベルの存在を知りませんでした。キャラクターが出てくる参考書は取っ付きやすい一方で、関係ない情報量が多く含まれる分、肝心の内容が薄くなってしまう印象がありましたが、本書は1語に丸々1ページを割いており、むしろ単語帳としてはかなり詳細な解説がされています。実際、他の古文単語帳と比べても本のサイズが大きく、分厚いです。解説がされているのは300語と少なめですが、関連語として紹介されているも多く語彙とそれらも覚えれば入試においては必要十分条件な単語力を身につけることができます。
文脈で学ぶ 漢文句形とキーワード
難易度:基礎・標準
「これ1冊だけやりこめば入試は大丈夫!」といった謳い文句の参考書は、実際には大丈夫ではなかったりするのですが、漢文に関していえばこれ1冊で大丈夫です。漢文の参考書といえば『漢文早覚え即答法』が有名ですが、『句形とキーワード』はより詳しい知識を得たい人向けの参考書です。漢文の句形や重要単語、さらには文章のパターンが網羅されており、これを覚えておけば知識面で困ることはないです。
難関大突破 究める漢文
難易度:標準・発展
漢文の記述対策用の問題集です。漢文の記述対策としては『得点奪取漢文』が有名で、そもそも漢文の参考書が少ないので実質的にそれ一択しかない言う意見もありますが、『得点奪取漢文』は問題数が少ない上に簡単すぎるという短所があります。『究める漢文』は扱っている問題数が『得点奪取漢文』の倍以上はあり、解説も本文解説と設問解説に分かれていてそれぞれに詳細な記述がなされています。さらに、問題形式別の解き方やジャンル別の読解方法も解説されており、漢文の問題集としてはこれ以上ない出来と言って差し支えないと思います。『句形とキーワード』で漢文は十分と言いつつも2冊目の参考書を紹介したのも『究める漢文』があえて紹介したくなるほど優れた参考書だからです。
漆原慎太郎の 古文・記述問題が面白いほどとけるスペシャルレクチャー
難易度:標準・発展
記述問題といえば得点奪取古文が有名ですが、こちらが問題数をこなすことで記述力の向上を目指すのに対し、『スペシャルレクチャー』では答案作成の技法に加え、和歌や構文などの読解方法など、具体的な手法を多く学習することができ、短期間で実力を向上させることができます。
現代文と格闘する
難易度:標準・発展
今回紹介する中では最も有名な参考書です。やや難解な文章と「格闘する」ことで読解力と要約力を身につけることができます。また、現代文の用語・頻出テーマについても解説されており、1冊で現代文の学習が完結できるようになっています。この問題集を一通りやれば模試等で安定して好成績を取れます。唯一の欠点は、解説を読みこなすのにも若干の読解力が求められるため、あまりにも現代文な苦手な人には向いてないということです。
ライジング現代文
難易度:発展
東大現代文でいえば、赤本レベルの答案は既に書ける読者を想定した、レベルの高い問題集です。東大の過去問を中心に扱っていますが、早稲田やセンター過去問も含まれています。世に出回っている東大過去問の解答例の中では最も信頼がおけると思います。内容は難しいですが問題数は少ないのでそこまで時間はかからないです。設問を構造の上にのせることや、意味段落分けの重要性など、他の参考書ではほとんど解説されないものの、現代文を読む上で大事なことが書かれています。
おすすめ参考書(数学編)
はじめに
おすすめの参考書を紹介します。私はこれまで全科目合わせて250冊以上の参考書に取り組んでいるので、他の参考書紹介記事よりも信ぴょう性が高いのではないかと思います。
1対1対応の演習
難易度:基礎・標準
あまりにも有名な参考書で、良書でもあるため、参考書を紹介する上で触れないわけにはいきません。例題と演習問題が1対1対応になっているので例題で学習したことを演習問題で試せるのが強みです。入試の標準問題を網羅しているので1対1を完璧にしておけば過去問演習に取り掛かることができます。解説が理解できない場合は『スバラシクよく解けると評判の合格!数学1・A実力UP!問題集』をやるのが良いと思います。
数学 軌跡・領域 分野別標準問題精講
難易度:標準
題名の通り軌跡と領域の単元に焦点を絞った問題集です。軌跡と領域は入試でもよく出てくるのですが、この分野だけに絞った参考書はほとんどないのが現状です。1対1よりも解説が丁寧で、軌跡と領域が苦手な人でも解けるようになること請け合いです。
スバラシクよく解けると評判の合格!数学1・A実力UP!問題集
難易度:標準
内容的には1対1レベルですが、解説がこれ以上なく丁寧です。表紙と題名がとても胡散臭いですが、数学が苦手な方にはおすすめです。
マスター・オブ・整数
難易度:標準・発展
名前の通り整数をマスターすることができる問題集です。整数は他の数学の単元から比較的独立しており、数学が苦手な方でも1発入れることができる単元です。マスオブ整数では典型問題から数学オリンピックの超難問まで取り扱っており、受験対策としてはこれ以上ないほどの準備ができます。
鉄緑会東大数学問題集
難易度:標準・発展
東大数学の過去問です。東大数学は良問揃いと言われ、実際に東大で出た問題の類題が数年後に他大で出ることもしばしばあるので、東大志望ではない方にもおすすめです。東大数学の過去問集は数多くありますが、本書には詳細な採点基準や豊富な別解など類書を凌駕する情報量があり、限られた過去問をフルに活用できます。
おすすめの参考書(英語編)
はじめに
おすすめの参考書を紹介します。私はこれまで全科目合わせて250冊以上の参考書に取り組んでいるので、他の参考書紹介記事よりも信ぴょう性が高いのではないかと思います。
必携英単語LEAP
難易度:基礎
英単語帳です。英単語といえばターゲットや鉄壁が有名で、私も両方やりましたが、あえてLeapをおすすめしたいです。上のリンクからAmazonに飛んでいただければわかるように、Leapには鉄壁ほどの情報量が無いというレビューがあります。しかし、情報量が多ければ多いほど良いという考えが正しいとは限りません。特に鉄壁は情報量が多すぎるために、かなりストイックな人にしか使いこなせないという短所があります。しかし、ターゲットのようにあまりにも簡素だと応用が効かないでしょう。必要十分な情報量が詰まっているということが、Leapの長所だと思います。
速読英単語2上級編
難易度:標準
英語長文を読む練習と単語の習得を同時におこなうことができます。
詳しい感想はこちらに書いています。
大学入試 最難関大への英文解釈―正確に読み解くストラテジー
難易度:標準
最難関と銘打ってはいますが、むしろ標準的な難易度の解釈問題を網羅しています。第1部に構文や文法の詳細な解説があり、第2部では第1部で学んだことを問題演習を通じて確認できます。英文解釈といえば『ポレポレ英文読解プロセス50』や『英文読解の透視図』などが有名ですが、類書よりも解説が細かく、またわかりやすいのでこちらをおすすめします。著者は英作文の参考書の方が有名ということもあり、英作文の能力向上にも役立ちます。
大学入試 最難関大への英作文 ハイパートレーニング
難易度:標準
英作文は竹岡先生の著書が有名ですが、あえてこちらをおすすめします。この参考書は和文英訳と自由英作文のパートに分かれているのですが、和文英訳のパートであっても単に表現を暗記するだけでなく、日本語の読みかえなどの技術を学ぶことができます。解答例も多く掲載しており、添削例も掲載されているのでとても勉強になります。英作文のトピックも頻出のものを多く扱っているので入試の予想問題としても使えます。使い勝手の良い語彙や表現が巻末に収録されているほか、暗記用例文集もついているので知識面でも充実しています。
英語長文問題精講
難易度:標準
かなり昔からある参考書です。標準と名付けられていますが、東大レベルの英文が多く載っており、長文問題集としてはやや難しい部類に入ります。解説も手取り足取り教えてくれるわけではなく、至って普通の問題集ですが、様々な文章が掲載されているので一通り解けば力が着くことは間違いないです。